空き家解体の補助金制度とは?解体費用から補助金の種類、申請の流れまでを解説
投稿日:2025年04月19日
老朽化した空き家は、防犯・防災の観点からも地域にとって大きな課題であり、社会問題になっています。しかし、解体には高額な費用がかかるため、なかなか手がつけられないという方も多いのではないでしょうか。
そんな時に役立つのが、各自治体が提供する解体費用の補助金制度です。
この記事では、解体の相場費用から補助金の種類や申請の流れ、注意点についてご紹介します。是非参考にしてください。
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空き家解体にかかる費用相場とは?
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相場費用
空き家の解体費用は、建物の構造と面積でおおよその価格を把握することができます。
建物の構造は、①木造 ②鉄骨造(軽量・重量) ③RC造(鉄筋コンクリート)の主に3つの種類があり、構造によって解体方法が異なります。建物の強度が高く、解体作業に手間がかかるほど、費用も高くなります。
おおよその費用は下記の通りになります。
建物構造 | 解体費用の目安(30坪) | 特徴・ポイント |
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木造住宅 | 約100〜150万円 | 一般的な戸建住宅に多く、費用は比較的安め |
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軽量鉄骨造 | 約150〜200万円 | 木造より強度あり、手間がかかるためやや高め |
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重量鉄骨造 | 約180〜250万円 | クレーンなど大型機械が必要なケースも |
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RC造 | 約200〜300万円 | 頑丈な構造のため解体コストが高い傾向 |
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解体費用全体の内訳
解体費用は、建物の構造や面積に加え、以下の点によっても変動します。
築年数
古い建物では使用されている建材や工法が現代と異なり、解体に手間や時間を要する場合があります。また、老朽化が進んでいる場合、追加の安全対策が必要になることもあります。
敷地の形状
狭小地や傾斜地、道路からのアクセスが悪いなど、特殊な形状の敷地では、重機の搬入や作業スペースの確保が難しくなり、費用が高くなることがあります。
アスベストの有無
アスベストが含まれている建物の場合、特別な除去作業と処理が必要となり、解体費用は大幅に増加します。
※アスベスト:健康被害を引き起こす可能性がある天然の繊維状鉱物。現在は法律で使用を禁じられているが、 2006年以前に建築された戸建て住宅の外壁に使われている可能性がある。
廃棄物の量
建物の規模だけでなく、内部に残された家財などの廃棄物の量によっても変動します。分別や運搬、処理にかかる費用が影響します。
依頼する解体業者
解体業者の技術力や使用する重機、人員体制、そして料金設定によっても費用は異なります。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
空き家を解体するメリット
①空き家の解体を行うことで管理の手間が減る
維持管理にかかっていた草刈り、清掃、修繕費用などの負担から解放されます。
②安全性の確保と防犯性が向上する
老朽化した建物が倒壊する危険性や不審者の侵入・放火といったリスクを解消し、近隣住民を含む地域の安全性を高めることができます。
③土地の有効活用
解体後の土地は、駐車場や新築用地、売却など、新たな用途で有効に活用することが可能になるため、資産価値を高めるチャンスが生まれます。
④特定空家・管理不全空き家に指定されるリスクを回避できる
空き家の状態が非常に悪いと、自治体から特定空家などに指定され、固定資産税が高くなることがあります。しかし、解体すれば指定を回避でき、税負担を軽減することが可能です。
空き家の解体には多くのメリットがありますが、一方で費用や税金、解体後の土地の活用方法など、慎重に検討すべき点も少なくありません。
特に注意したいのは、解体によって「住宅用地の特例」が解除され、固定資産税が大幅に増加する可能性がある点です。一般的に、中古戸建が建っている状態よりも、更地になった土地の方が固定資産税の負担は重くなります。
そのため、解体を検討する際は、専門業者に相談し、ご自身の状況や将来の土地活用の計画に合わせて最適な選択をすることが大切です。
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解体費用補助金の基本概要
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補助金の目的
解体費用補助金の目的は、老朽化した危険性のある空き家を解消し、地域の安全性や景観を維持することにあります。特に、放置された空き家は防犯や防災の面でも大きな課題となっているため、補助金により所有者の経済的負担を軽減することで空き家の減少を促進しています。
補助金の種類
空き家を解体する際に利用できる補助金は下記の通りになります。
1. 老朽危険空き家解体補助金
2. 木造住宅解体工事補助金
3. ブロック塀等撤去費補助金
4. 建て替え費補助金
1. 老朽危険空き家解体補助金
老朽化により倒壊の恐れがある空き家に対して支給される補助金です。自治体による現地調査や審査を経て、補助対象かどうか判断されます。
2. 木造住宅解体工事補助金
築年数が経過した木造住宅を対象とし、安全性の確保や再利用困難な空き家に対して支給される補助金です。耐震基準を満たしていない住宅も補助対象となるケースがあります。
3. ブロック塀等撤去費補助金
空き家とともに設置されている老朽化したブロック塀などの撤去にかかる費用に対して支給される補助金です。地震や事故時の倒壊リスクを軽減する目的があります。
4. 建て替え費補助金
耐震面で問題がある建物を建て替える際に支給される補助金です。解体費用だけでなく、建築費用も一部支給されるのが特徴です。
補助金が給付されるまでの流れ
補助金の申請から給付までには、いくつかのステップがあります。一般的な流れは以下の通りです。
①:事前相談・調査
まずは市区町村や自治体の窓口に相談し、対象要件や補助内容を確認します。
②:申請書の提出
必要書類を揃えて正式に申請を行います。
③:審査・交付決定
書類審査を経て、補助金交付の可否が決定されます。
④:工事の実施
交付決定後、指定された期間内に解体工事を行います。
⑤:完了報告・補助金の受領
工事完了後に報告書を提出し、審査を通過すれば補助金が給付されます。
※自治体によって手続きや必要書類が異なるため、事前の確認が重要です。
補助金を受けるための条件
・解体補助金が利用できる地域
愛知県内では、名古屋市をはじめとする複数の市町村で解体補助金制度が設けられています。ただし、すべての地域で実施されているわけではありません。例えば、老朽空き家対策として補助制度がある地域もあれば、防災や景観保全を目的とした制度を採用している自治体もあります。対象となる地域かどうかを事前に確認することが重要です。
・他の補助金制度との併用について
愛知県では、解体補助金と他の支援制度を併用できるケースもあります。ただし、併用には条件が定められており、すべての制度が同時に利用できるわけではありません。併用を希望する場合は、申請前に自治体へ相談し、事前に適用可否を確認しておきましょう。
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補助金を受ける場合の注意点
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○補助金の種類や条件は自治体ごとに異なる
同じ愛知県内でも、補助対象となる建物の条件や補助金額、申請の流れなどは自治体によって異なります。事前にお住まいの市区町村のホームページや窓口で最新情報を確認することが大切です。
○補助金の申請は「着工前」に行うことが原則
多くの自治体では、解体工事が始まってしまうと補助金の対象外となります。補助金を利用したい場合は、必ず工事の契約や着工前に申請を行い、交付決定を受けてから工事に着手できるようにしましょう。
○解体費用の支払い後に給付される
補助金は前払いではなく、解体工事の完了後に実際の支出額を報告し、その内容が認められたうえで給付されるのが一般的です。そのため、一時的には解体費用を自己資金で立て替える必要があります。
○審査期間があり、給付までに時間がかかることも
申請から補助金の支給までは、数週間から数か月かかることもあります。スケジュールにはゆとりを持ち、早めの準備を心がけましょう。
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まとめ
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空き家の解体はつい後回しにしてしまいがちです。しかし、各自治体が用意している補助金制度を活用すれば、経済的な負担を軽減しながら進めることができます。
愛知県内でも市町村ごとに補助金の内容や対象条件が異なるため、事前の情報収集が成功のカギとなります。補助金の対象になるかどうか、併用できる制度があるかなど、気になる点がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。